ミックスについてまとめてみた 2013 【その9】多次元的ミックス2~Y軸 EQ編:オイシイ周波数を洗い出す

さて、前回は『多次元的ミックス1~X軸 パン編:定位は金剛力士像阿吽のように』でした。
前回に引続き今回も上モノミックスについて、多次元ミックスについて記していきます。今回は Y軸 (EQ編) です!

それではミックスしていきましょう!!

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10.多次元的なミックスしよう

X軸:「パンニング」で 左右棲み分けする (左右~幅~つまりX軸)
Y軸:「EQ」で周波数帯の競合を整理 (上下~高さ~つまりY軸)
Z軸:「リバーブ」や「コンプレッサー」で 奥行き感を出す (前後~奥行き~つまりZ軸)

上記の3軸で3次元的なミックスをし、楽器の分離感を上げてゆく手法です。
多次元とか、3次元とか、X軸とか、Y軸とか、Z軸とか・・・、このような表現はdice独自なので、
コレをキーワードに調べても何も見つかりません、
ただこのような言葉を使うと理系人間はイメージしやすいかなぁ?と思いつけました。

10.2 Y軸~EQでそのトラックのオイシイ周波数を洗い出す

EQを使って周波数帯の競合を整理します。

基本的にオイシイ部分を延ばし
競合部分はばっさり削る!

オイシイ周波数を探る

とりあえずEQを出してください。
そして、いじるトラック以外を鳴らしたくないのでソロにしておきましょう!
あと、紙と鉛筆のご用意を

まず、Qを最小に狭めときます。12とか。
ゲインを目一杯上げます。+24dBとか。

探る上での注意!

この時注意して欲しいのがスピーカーやヘッドフォンの音量を上げすぎないようにしてください。
気をつけないと耳がやられたりスピーカーがやられる可能性があります。

一つ断っておきますが、
この記事で述べてることをやってトラブルが発生したとしても一切責任は負いかねますので自己責任で行ってください。

で、本題に戻ります。

実際に探っていきましょう

周波数を一番下にしておきましょう。20Hzですかね。

準備ができたら、そのパートが一番激しくw奏でてるセクションをループ再生してください。例えばサビをループとか。

20Hzから上へゆっくりと、徐々にドラッグしていきます。しばらくすると音が割れる部分が出てくるはずです。
スペクトラムが見えるとやりやすいですね。
EQ1

その割れている部分の周波数がオイシイ部分であり、その楽器を特徴付けている要素がつまっているといえます。
コレをメモしておきましょう。

コレをやっていくとEQが楽しくなってくるし、使い方が分かると思います。
あと、耳も鍛えられ、音楽を聴くときいろいろの音を聞き分けれるようになります。

実際diceは我流で編み出したこの方法で1ヶ月ほどEQ漬けしたところ、聴く能力が飛躍的に上がりました!!
そして買った当初全く良さが分からなかったAKG K701のヘッドフォンの性能が体で理解できましたw

この作業はモニターヘッドフォンでやらないと判別できないので、かならずドンシャリ等味付けされていないモニターヘッドフォンで行いましょう!!

倍音成分が多いものは、音割れが起こる場所が多い

それをいちいちメモると日が暮れてしまいます。
なので、自分なりの主観でいいので、心地いい部分を取捨選択し選別してください。
多くても5つまでにしておきましょう。キリが無いですよ!

100Hz以上から探索を始めるのが良いかと思います。それ以下はリズム隊の聖域なんでリズム隊以外はおいしい部分があっても有無も言わさずカットするから。
下記を参考に多くても5箇所位までにとどめておきましょう。

各周波数のオイシイところ
周波数 解説
20~80Hz ウーファーベースの聖域。ここは一切相手にしません。バッサリカット!
80~200Hz キックやベースなどリズム隊の聖域。コード楽器、パッドなど以外はここは一切相手にしません。バッサリカット!
200~500Hz ボーカルの低音成分が主役になる帯域
500~2kHz ボーカルの軸となる帯域。エレキギターがいると群雄割拠wになる地帯です
3~6kHz ボーカルのヌケの要素の帯域
9kHz周辺 ボーカルを聴きやすくするためにブーストする予定の帯域
10kHz以上 キラキラとした音の軸

この周波数を書き出す順番は重要な順番に書き出すこと!

重要な点を忘れていました。
この周波数書き出す順番は重要な順番に書き出すこと!

例えば、
1.キック
2.ウーファーベース
3.ベース
4.ボーカル
5.コーラス
6.ソロ楽器
7.SEの中でも曲のアクセントとなるSE
8.スネア
9~.上記以外は制作者にとって重要な順

e.g. 『乖離系少女』制作時のメモの例

frequencyMemo_eg

メモから取捨選択しましょう

どれを取捨選択すればいいか紙を見れば一目瞭然ですよね?
横軸が周波数
縦軸は重要な順番からメモしているから必然的に優先順位順なんですから。

端から見ていきましょう。
縦位置に何も無ければ競合無しです。
この時、赤丸か蛍光ペンで塗るとわかりやすいかもしれません

競合があれば優先順位の高い上から選ぶ。

どの楽器も最低一つ優位な周波数を選ぶ

優先順位の低いものでも、
もし、その楽器が全て競合した場合、
いくら優先順位が低いとしてもその中でその楽器を性格付ける周波数帯は優先順位が低いからといっても例外で譲ってあげましょう
コレ重要です。
どの楽器も最低一つは優位な周波数を割り当ててあげたいですね。

例え競合してもパンニングで棲み分ける

あと、複数競合しててもパンで割り振れば問題ないです。
むしろ似た周波数帯を前回の阿吽のルールでペアを組ますのが良いと思います。

『乖離系少女』では、
ハイハットとアコギのカッティングのオイシイ周波数帯(だいたい12kHz)が似ています。
なのでペアを組ませ左右にパンニングしました。

AutoPanとかで定位が動きまくってるのも自由枠みたいな感じで「あまり」競合とみなしません、あまりね。100%じゃありません、60%位かなぁ?

後はそれを踏まえEQで処理

そうするとずいぶんスッキリとして楽器の分離が良くなり「ヘッドフォン推称」とタグが付くかもしれないですねw

あと、周波数帯が競合しててパンニングでも逃げられない場合、これは次の「奥行き」で解決することにしましょう。

群雄割拠の中域の処理が楽器の分離感の明暗が分かれます。
取捨選択は冷徹にするのも吉です。まさに断捨離w

さて次回は多次元的ミックスラスト Z軸の話です。
奥行き感をつける話です。
リバーブなど空間系はもちろん、なんとコンプレッサーでも奥行き感が出せます。次回はそんな話です、

それでは、
つづくッッッ!!

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